2008年7月9日水曜日

LAの夏の風物詩、Hollywood Bowl

いよいよ7月、既に夏本番のLAでは今、野外コンサートが真っ盛り。なかでもHollywood Bowl のプログラムの内容の充実振りは突出です。先月からLAフィルによる夏恒例の野外コンサートのシーズンもスタートし、9月の終わりまで連日コンサートが催され、豪華なゲストを呼んでのプログラムが満載です。私も先月のPlayboy Jazz Festival を皮切りに、7月4日独立記念日の花火打ち上げコンサート、スティービー・ワンダーの公演と、このところ何度か出かけて行きました。


初めて目にしたハリウッドボールのコンサート場、そのスケールと洗練された雰囲気は、さすがエンターテイメントの殿堂といった迫力あるものでした。

入り口でセキュリティーチェックを済ませて入場すると、エスカレータに乗って丘の上の会場に向かいます。

この日は、後方の座席を予約しており、鬱蒼とした緑の樹木の中を抜けながら、更にもう一台のエスカレーターに乗り継いで上へと登っていくことになりました。みんな食べ物をたっぷり詰めこんだバスケットやクーラーを下げてまるでピクニックに出かけて行くようないでたちです。既にピクニックエリアなどではテーブルにお弁当やワインを広げてワイワイ楽しんでいる人たちの姿も目にします。食べているときの姿は、本当にみんな幸せそうで、こちらまでウキウキと楽しくなってきます。

丘の頂上らしきところに到着、エスカレーターを降り会場内に足を踏み入れると、そこは別世界。下方に遠く見下ろすようにシェルと呼ばれる半円の白いドーム状の舞台が臨めます。その舞台を基点に観客席が円錐状に丘の上に広がり、巨大なコンサート会場が山の谷間にドカ~ンと出現。ドームの背後にはハリウッドヒルが見事に稜線を描き、ハリウッドサインも目の前です。自然景観と一体となったなんとも素晴らしいフォーメーションにです。 まるで山の谷間に突如出現した古代の劇場を眺めているかのような第一印象でした。


このHollywood Bowl、1922年に野外コンサート場としてオープンしたそうです。当時の写真を見ると女性はまだドレス姿で歴史を感じますが、人々の楽しみ方は今も昔も根本的には変わっていないのかもしれませんね。オープン当時ボールにはシェルは無く、全くの青空天井だったようです。1929年にコンクリートのアーチが登場し、その後何度か変遷を繰り返して現在のシェルは5代目。過去にはフランク・ロイド・ライトの息子で建築家のロイド・ライト氏が、そして前作はなんとディズニーホールの建築でも注目されたフランク・ゲーリー氏が設計と、会場内のパネルに過去のドームの歴史が紹介されていました。たかがアーチではなかったのですね。シェルは一大建築物なのでした。 現在のものは、音響効果を大きく改善して2004年にお目見えしたそうです。



Playboy Jazz Festival



6月下旬に開催される恒例のジャズフェスティバルで今年で30周年を迎えました。土曜から週末二日間に渡って催され、昼から夜まで楽しめます。土曜日には日本の女性ジャズピアニストHiromi が出演し、後日LAタイムズに、彼女の笑顔の大きな写真入でクリエイティブな演奏を賛辞する記事が載りました。大物ジャズプレイヤー誕生の様相です。


夫と共に出かけた日曜日は、今年グラミー賞に輝いたHerbie Hancock が出演。ハリウッドの空が薄紫に暮れなずんで少しずつ暗闇に変わり始めた頃の登場となりました。その頃には既に会場は満席。後方は木のベンチ席で、すし詰め状態です。座席のキャパシティーは、17,376席だそうです。観客で埋め尽くされた会場はこれまた圧巻でした。

日が落ちると共に舞台は、鮮やかな照明で彩られます。LAに住んでいつも感じるのが光の演出の美しさ!ここHollywood Bowl ではドーム内を帯状に何色もの光の演出が繰り広げられ演奏と光の共演が見事です。LAらしいエンターテイメントの醍醐味を味わえます。ドームの先には暗闇に浮き上がるハリウッドサインと十字架、そして夜空に輝く星と共に自然と人口の光の見事なコラボレーション。これは、きっと世界に一つきり、ここにしかない夢の世界のように思われます。





July 4th Fireworks Spectacular



7月4日の独立記念日は、LAフィルのオーケストラの演奏と花火とのコラボレーションが恒例行事とのことで、この日ちょうど日本からのお客さんがあり、LA紹介がてら再び出かけました。

今回は、前席サイドのボックス席を予約、舞台も目の高さです。4人がけの椅子にテーブルが設置されているのでここでは食事をしながらコンサートを楽しむことができます。
今年の催しは、野球チーム、LAドジャーズの50周年とかで、指揮者をはじめオーケストラの面々もドジャーズのユニホームを着ての登場。ドジャーズの応援歌なども演奏され、往年の監督ラソーダ氏も進行役で登場、そしてOBたちが舞台に上がると会場は多いに盛り上がりました。スライドでも暦年の選手が紹介され、そこには野茂選手の姿も!私たちも一際大きな拍手を送りました。


インターミッションの後、映画音楽の作曲でも有名なランディー・ニューマンが登場、自らピアノの演奏、そして指揮棒を振って曲が演奏され、その後待ちに待った恒例の花火とオーケストラの競演とあいなります。

The Washington Post / Semper fidelis / The Stars and Stripes Forever!  とお馴染みの曲に載って花火が打ち上げられ会場はクライマックスに。オーケストラと花火のコラボレーションは初めてでしたが、音楽にのって夜空に花火が次から次へと打ち上げられる様は豪華絢爛、際立った演出効果と共に最高の花火の祭典でした。

最近新聞で、この所の相次ぐ物価高の為、独立記念日の花火を中止する町もあり、住人が悲しいんでいるとの記事を目にしました。ここLAで、こうして例年通り、豪華な花火でアメリカの記念日を祝うことができたことは、当たり前のことではないんだと思えてきます。「明日という日は昨日の続きにあらず」ですね。こうして今年アメリカで迎えられた独立記念日を大切に心に刻んでおこうと思います。


A Wonder Summer's Night


さあ、いよいよスティービー・ワンダーのコンサート。今夏三度目のBowlとなりますが、予約を入れたのはこれが一番最初。一度は生の声を聞いてみたいと、チケット発売と共に申し込みました。あいにく夫の方は出張と重なってしまい、こちらで最近仲良くなった友人を誘って出かけてきました。ピアニストで、シネマスクリプターそしてTV番組のディレクターとなんとも多才な彼女は、ヨガの指導者でもあり、彼女のヨガのクラスで知り合って仲良くなりました。

この日は最高に理想的なカリフォルニアのお天気。日が暮れる頃には、涼しい風が吹き爽快な空気の中、ワンダー登場までたっぷり友人と会話を楽しむことができ、音楽や映画そしてプライベイトに関することなど話題はあちらこちらに。つい最近知り合ったばかりだというのが嘘のような親近感で、これからもますます仲良くなれそうです。

8時の予定時刻より20分ほど遅れてのワンダー登場となりました。その頃には日もすっかり暮れて暗闇の中、気がつくと会場は既に満席状態、観客の熱気で一杯です。現在57歳のワンダー、伸びのある高音は今も健在。いつもの上を見上げるようにして体全体でリズムを取りながら歌う様もそのままで、聞き進んでいくうちにワンダーそのものが音楽のように思えてきます。今回のコンサートは長女とのデュエットや長男のピアノの演奏と父親譲りの伸びのある歌声、そしてまだ幼い次男のドラムの演奏も登場し、3人の子供たちとの共演の織り交ったとても心温まる内容でした。

今後もハリウッドボールでは、見逃せないプログラムが目白押し。


来週はまた、LAフィルのチャイコフスキーと花火のコンサートに出かけていく予定です。今や人気が高く、いつもチケットが売り切れとなる中国人ピアニストLangLangのボールデビューということもあり、花火と共に楽しみな演目です。



ハリウッドボール、座席によってチケットの値段も10ドル代から用意され、ピクニック気分でお弁当持参で楽しむもよし。会場内にもこちらで評判のPatinaのレストランやデリも入っています。ギフトショップもナイスですよ。
色んな楽しみ方ができる夏のハリウッドボールをどうぞお見逃し無く!


http://www.hollywoodbowl.com/

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