2010年2月12日金曜日

住宅街に孔雀の群れ、そして狸が歩道を走る!


Pasadena Playhouseで芝居を観たあと、隣町のArcadia へ向かうことにしました。目的地はディンタイファン、台湾に本店がある小龍包の名店です。日本にも店があり知られている様ですが、ここLA近郊のArcadiaの町にも支店があり、近くまできた今回行ってみる事にしました。
Pasadena の町から高速に乗り次の降り口を出ると、すぐに閑静な住宅地がひろがります。アジア系の裕福な住人が多く住むエリアなのでしょう、町は落ち着いていい環境です。
そのままナビの示す通り、住宅街の中の道を進んでいくと、私たちの車の前を大きな羽を引きずるように一羽のトリが横切りました!
エッ!いまの何? もしかして、、クジャク?? その後からもぞろぞろと一列に並んで数羽が通り過ぎ、住宅地の中へと消えていきました。
首を傾げながらいったんは通り過ぎたものの、いったいどこに行くのか気になり、引き返して追いかけるように住宅地の中に入っていくと、
いました!いました! クジャクです。孔雀に間違い有りません。それもすごい数、目立つ雄から地味なメスまで、そこいら中の家の前庭に入り込んでなにやら物色しています。

うわぁー!孔雀だー! どこから?やってくるのでしょう? 孔雀園でも近くにあるのか、それとも酔狂な住人が飼っているのか??? 住宅街に孔雀とはまた摩訶不思議な光景です。
すっかり目の前に洗われた孔雀に興奮状態、大慌てでデジカメを取り出し、車の窓から激写するも興奮は
覚めやらぬで、いよいよ車から降りて一羽の大きな羽の孔雀に近づいていくことにしました。するとその孔雀、警戒したかのように私の前にすっくと仁王立ち、目と目がぴたりと合ってしまいました。じーっと私を凝視する孔雀の目!そしてしばらくして大ーきな羽を広げした!! いやービックリ!私に向かって開かれた美しい衣装に私の足は釘付け。昼に観た芝居の余韻も一気に吹き飛んでしまいました!

この出来事のあとで、孔雀がArcadia の町鳥だと知りました。パサデナに住む知人から聞いたところ、山に住んでいた孔雀が昨年の山火事の影響で町に降りてきたのだそうです。今では隣町のパサデナにも孔雀が出没し、庭を荒して住民を悩ませてるのだとのこと。
いや〜あの孔雀の数!住人の方はさぞ大変なことでしょう。



そして今度は狸出没です。

孔雀の興奮冷めやらぬ、2月のある月の美しい夜、West LA にある日本食料品店、ニジヤで買い物をすませ、ソーテルとサンタモニカのコーナーにあるCineFile(外国映画のレンタルDVDが揃っています。日本映画のコーナーもあります。) に寄ってみようと、車を道路沿いにとめて歩道を夫とともに歩いていると、何やら背後から気配を感じ振り向きました。なにやら動物らしきものが猛突進して近づいてきています!とっさに歩道から身をかわすや、目の前を日頃このあたりでは見かけぬ動物が二匹、すさまじい勢いで通りすぎて行きました。その正体はどうやらラクーン、日本ならさしずめ狸といった姿形。いや〜、これも山から降りてきたのでしょうか?? 目の前は、車の激しく行き交うサンタモニカの大通りです。都会に狸が出没!
見上げると空にはきれい三日月が輝いていました。
もう春は間近、動物達もそわそわと動きはじめているようです。

2010年2月9日火曜日

閉幕するPasadena Playhouse


この週末はまたPasadena の町へ、元旦の日から今年はなにかとパサデナづいています。今回向かった先は、Pasadena Playhouse。1917年創立と古い劇場で、かつては俳優学校もあり、Gene Hackman や Dustin Hoffman、また日本人でハリウッドで活躍した俳優のMakoもここで学んだということです。文化のある町パサデナのランドマーク的な存在でしたが、今回の舞台を限りに突然幕を閉じるということになりました。
今回その事を新聞記事知り、久しぶりに夫とともに観劇と出かけて行くことにしました。初めて目にする劇場は、スパニッシュスタイルの中庭のある建物。噴水のある中庭にはカフェが立ち、すでに大勢の人が飲み物を手に集っています。劇場に入る前から気分も浮き立ちます。劇場内に足を踏み入れてみると、大きすぎないスケールの上品な劇場で、天井や壁の装飾はかなり年代もので風情があります。どこか知らないヨーロッパあたりの小さな町の劇場にでも紛れ込んだかのような印象でした。

今回、最後の演目となった「Camelot」は、ブロードウェーではリチャード・バートン、ジュリー・アンドリュースといった大物俳優によって演じられた人気のミュージカルとか。大勢の役者ともに舞台も衣装も豪華な一大ミュージカルだったものを今回はわずか8人の俳優によって衣装もシンプルに、たった1枚の来たきり雀と、斬新かつ実験的に演じられました。
今回演じた役者もみな若く、チャレンジングな演出だというのに、観客席を見渡してみると大半がお年寄り、そして劇場で当日働いているのもみな高齢の方ばかり。後で知った事にはみなさん劇場を支えているボランティアの方達だと言う事でした。

鉄道やオレンジで財を成した富豪によって発展したパサデナの町は、全米でも有数の裕福な郊外の住宅地として知らています。こうしたパトロンたちによって文化も育まれ、Norton Simon Museum や Huntinngton Library といった名高い文化施設も名を連ねています。今回幕を下ろすPasadena Playhouseもそんなパサデナの町の歴史ある文化の殿堂ですが、一方で美術館などが、早くから時代の変化に対応し、子供達への教育プログラム等を充実させニューファミリーを呼び込む努力をしてきたのに対して、こちらは客層を若者に広げることができないまま老築化する建物に、サポーターの老齢化で資金繰りが難しくやむなくの終焉となったようです。

いまや時代はデジタル化一辺倒。文化も教育も、エンターテイメントの世界もすべてが大きく様変わりしています。映像は今や3Dへとよりリアルな迫力を求めて突き進んでいますが、ビジュアルの刺激のみが追い求められ、人間の生の声や体温はどこかへ忘れ去られていくような危機感を感じます。懐かしいにおいのするお店や本屋もどんどん消えていっています。この先時代はどう変わっていくのか? 時代の変化は人間の幸せを無視して、勝手にどんどん、どんどん加速していくように思えてなりません。
舞台が終わったあと、役者のかけまわる靴音がしばらくずっと耳に残っていました。その靴音に生の舞台っていいな〜との思いが湧いてきました。この劇場に響く靴音もこれが最後!
時代の変化についていけないものは消えて行くのが世の常なのでしょうが、この先時代はどう進んで行くのか、先の見えない時代に戸惑いをおぼえるのは私だけでしょうか?
限りなくリアルを追い求めながら、本当のリアルを失っていくな〜と、劇場を後にしました。