2008年6月17日火曜日
ジャカランダの紫に染まるLA
先月5月15日、カルフォルニア州で同性愛者の結婚が合法的に認められることとなり、また新たな歴史の1頁が開かれました。一ヶ月経った今、LAでは同性愛者の結婚式が花盛りの模様です。
カルフォルニアの人口は増加の一途、今後はゲイやレズビアンの人口もそれに拍車を加えることになるのでしょうか。山あり海あり砂漠ありと、変化に富む自然景観と共に 何かにつけdiverse と形容されることの多いカルフォルニア、そこに住む人種も多様なら人々の生き方もまた様々です。今回の歴史的な出来事は、さらにカリフォルニアの自由と多様性を押し広げて、アメリカの西の端から新しい価値観や文化を発信し現在のアメリカという国を体現していくようなダイナミズムを感じます。
さ~て、そんなLAの空の下、ジャカランダもまた花盛りです。4月下旬ごろからチラホラ咲き始め、既に6月、紫の花を一杯につけたジャカランダの木をいたる所で目にします。このジャカランダの木、羽状の葉っぱの形が独特で、昨年秋こちらに住み始めた頃すぐこのあたりにあるのを目にしていましたが、実際花の季節を迎えてこんなにもLAの町に存在していたのかと驚くばかりです。
花の形は釣鐘状で、桐の花に似ています
葉の形は羽状複葉で、羊歯のようです
初めてジャカランダの花を目にしたのは4月の末、サンタモニカブルバードを走行中、車の窓から鮮やかな紫の塊が目に飛び込んできました。一瞬の衝撃的なジャカランダの花との出会いでした。その後外出するとしばらく紫の花の姿を追い求めてキョロキョロしていましたが、今やどこに出かけても紫色の花が町を覆っています。ジャカランダ並木もいたる所に出現しまるで花見気分。LAは今紫に染まっているかのようです。
このジャカランダの木、日本で育てていたこともあり、花が咲くのをずっと心待ちにしていました。2000年にアメリカから帰国し、東京での生活を始めた頃、近所の園芸屋で、小さな鉢
に植わった苗木を買いました。葉っぱの形が合歓の木のようでかわいらしく気に入ったのですが、そのやさしげな概観には似合わない旺盛な成長振りで、10センチ足らずの苗木は翌年には2~3倍の大きさに、その後も年々倍速で伸び、鉢を少しずつ大きくしてやがては直径50センチ程の鉢に植え替えることとなりました。始めは観葉植物程度に思っていたのですが、調べてみて南米産の大木だと知りびっくり仰天でした。
今は伊豆高原のマンションの庭に根を下ろしています。植え替えた後も翌年には2階のバルコニーに達する勢いで、まるで「ジャックと豆の木」。今では冬に葉を落とした後、春先新しい葉をつける前に幹をカットし頭打ち状態です。そのせいか、少しずつ幹が太くなり枝の方を増やしています。花はつけませんが、今もきれいな葉ッぱたちを茂らせ、わずかな風にもなびいて涼しげな風情を送ってくれています。
そんな経緯もあり、、LAでジャカランダの花を目にした時は、思いひとしおでした。
ジャカダンダは乾燥した場所で花を咲かせるとのことで、日本で花をつけることは珍しいようですが、日本の南国、宮崎あたりでは花が見られるようです。
5月のブロク「LAは花盛り」にジャカランダ並木の写真を載せたところ、それを見た花好きの友人が、この木が、世界三大花木のひとつだとメールで知らせてくれました。
LAのジャガランダ
ジャカランダがLAの人々の目を魅了し始めた5月の半ばごろ、こちらの新聞に一面大きな写真入で記事が載りました。それによると.....
ジャカランダの種類は多く49品種にも及ぶそうです。ここLAに咲くのは、Jacaranda mimosifolia という品種。アルゼンチンやブラジルあたりの南米が原産で、青味をおびた薄紫の花の色は、南カルフォルニア特有のもので、南米から移植されこちらの気候風土にあわせて出来上がったものらしいです。
植物学的にブルーの色をつけるというのは困難なことらしく、ましてや一面に見事な紫の花をつけるこの大木に対しては、地元でも特別な思いがあるようです。なんだか日本の桜を思い起こさせます。LA近郊のパサデナでは、珍しい白い花のジャカランダが咲くとか、見にいってみたいものです。ジャカランダの木の下が一面紫の絨毯と化しているのを時々目にしますが、この木、毎日散っていく花の数も半端ではなく、家の前や庭にある場合は、毎日の庭掃除が欠かせず住人泣かせだとか。
そしてまたまた驚いたことには、なんと秋にもう一度花を咲かせるのだそうです。精力的ですねぇ~!
上の写真は、五月にビバリーヒルズで催されたアートショー(Affaire In The Gardens Art Show)の様子。ちょうどジャカランダの花が満開を迎え頃で、さながらジャカランダ祭り!
サンタモニカブルバード沿いの芝生の広場に様々なアート作品のブースが出て、フードやワインに生演奏と、素敵な催しでした。
秋にももう一度開催されるそうです。
7月に入るとそろそろ見頃を終えるジャカランダの花、秋にはどんな色を見せてくれるのでしょうか?
2008年6月9日月曜日
夏の幕開け、Ojai Music Festival
そんな夏の音楽の祭典は、例年まずOjai (オーハイと発音します) Music Festival で幕開けとなります。先週5日から週末にかけて始まったOjai Music Festival へ日曜日に出かけてきました。
この日は朝から晴れて気温も上がり、ようやくカリフォルニアらしい天候が戻ってきたかのようです。オーハイは、LAから車で北へ1時間半ほど行った所にある渓谷の町です。オーハイみかん(日本のみかんのように小粒で手で皮をむいて食べれるので勝手にこう呼んでいます)に代表される柑橘の豊富な産地で、よくオレンジの花香るOjai Valley など形容されています。ここは、イギリスの有名な小説「失われた地平線」原作のアメリカ映画「Last Horizon」 の舞台となったところで、アメリカのシャングリラとも呼ばれ、東洋的神秘の香る所とされて、アーティストやニューエイジの人たちも多く住むそうです。
今回どんなところだろうと、ワクワクしながら出かけていきました。Ojaiの標識で、高速を降りると直ぐに緑あふれる道に入っていきます。LAからたった1時間ほどで空気の清らかな高原の町にやってきたような雰囲気です。そして着いた所は、四方をなだらかな山に囲まれたこじんまりした町で、ちょっと日本の里山のような感じもします。とてもチャーミングなところで一目で好きになりました。
今年で62回となるこのオーハイの音楽祭、現代音楽の大物が出演することでも有名で、かつてストラビンスキーもやってきたということです。今年は、ミニマリストのスティーブ・ライヒが登場。日曜日11時からのプログラムは、Steve Reich 自演のClapping Music に始まり、パーカッションのNEXUS や SO PERCUSSION の演奏によるライヒの70年代の作品、Drumming で終わりました。会場はLibbey Bowlで、町の中心にある公園、Libbey Park の中にあります。椅子席も用意されていますが、芝生の自由席で足を伸ばして聴くのが最高に気持ちいいです。カルフォルニアオークの木の下がテント代わりに、いい木陰をつくってくれています。そんな中で聴いた今回のDrumming の曲、ライヒの作品中、最長のもので、4つのパートが区切りなく演奏され曲は1時間にもおよびます。まずボンゴの音が登場、アフリカの大地のイメージに重なっていきます。続いてマリンバ、その後グロッケンシュピール(鉄琴)の高い音へと変化していきます。そして最後は、すべてのエレメントの集合音、まるで永遠に続いていくかのように音とリズムが繰り返され、音楽が体中に広がっていきます。次第に頭の中から雑念が消えて自分がまるで音そのものになったような感覚を味わいました。演奏が終わってしばらくして芝生の観客もみんな立ち上がり、スタンディングオベーションが始まりました。きっとみんな同じような体験だったのではないでしょうか?すばらしい演奏会でした。
ここには野外の古本屋として名を馳せるBart's という珍しいBookstore があるときいて行ってみました。
丘の上からの眺めはすばらしく、そこはまさに緑香る里山といった風景でした。「ここがアメリカのシャングリラか~?!」 そう思ってながめてると、以前インドで訪ねたリシケシの風景にも通じるような気がしてきました。
近所の気になるガスステーション
上の写真は、ステーションに飾られた地球最後のロボットWALL・E (Waste Allocation Load Litter Earth-Class)
2008年6月3日火曜日
Topanga State Park, Eagle Point
Topanga State Park
帰りはなだらかな下り道。余裕綽々で鼻歌交じり。行きとは見る風景がこうも違うのかと驚きます。しばらく行くと、白馬に乗ってやってくるの女性二人とすれちがいました。あまりに素敵なので声をかけて写真を撮らせてもらいました。その優雅な白馬の一頭は、なんと「みそスープ」という名前なのだそうです。「へぇ~っ!」とおもしろい話の展開となりました。山を下りながら頭の中をしばらく MISO SOUP がリフレイン、、段々といい名前に思えてきました。
海に面した屋外のテーブルで食事を取ることもできます。古くからある人気店で今回初めて訪ねましたが、席は満席状態で大賑わいでした。食事と雰囲気、どちらも楽しめてオススメです。そして食事のあと残ったものを持ち帰りに金銀のフォイルをたっぷり使って色んな動物の形にして包んでくれます。初めてのことで嬉しい驚きでした。私たちのテーブルのウェイターは、白鳥(アヒルだと言ったらスワンだと言い返されました!)とカニを作ってくれました。他の席では熟練のウェーターが、ターキーなど豪華な作品に仕上げたりしています。