2008年5月16日金曜日

どこまでも青い海と青い空 Santa Catalina Island

四月の終わり、母の帰国の前に大西洋に浮ぶ小島、 カタリナ島(Catalina Island) へ行ってきました。島へは、LA近郊のロングビーチから高速船で一時間ほど、日帰りでも気軽に出かけていけるリゾートアイランドです。

四月のLAの気候は変わりやすく、こちらに戻ってきて暖かかったのは2~3日。母と過ごしたLAは、肌寒く、ジャケットが手放せないような日が続きましたが、この日は久しぶりのいいお天気に恵まれました。太西洋の海水の温度は低く、夏でも泳げないほどだそうで、海辺は寒いかもと、今回もしっかり上着を用意して出かけて行きましたが、ロングビーチの乗船場は、半袖半ズボンにサンダル姿の人々で一杯、「さあ、島でおもいっきりあそぶぞ~!」といった活気に溢れていました。

乗船するつもりの午前10時発の高速船は、既に満員御礼。今回の島行きは、全くの無計画、前日主人が出張から帰ってきて、急遽カタリナ島へ行こうと決めたこともあって、予約もいれずにやってきましたが、案の定。特に週末は、予約なしでは無理だということでしたが、早めに到着した甲斐があって一番目のスタンディングチケットをもらうことができました。そしてラッキーなことに一組だけキャンセルが出ました!「今日はついてるぞ!」と主人のいつものセリフで、いよいよ、夢のカタリナアイランドへ!

近いとは言っても島への船旅は、車で出かけるのとは大違い、なんだか未知との遭遇にでかけるような気分でうきうきしてきます。

運がよければ船からイルカの群れやクジラを見ることができるそうで、しばらくしてデッキにあがって見ましたが、見渡す限り大海原一色。立っていると高速船特有の揺れで船酔いの兆しを感じ、そそくさと船室に戻って島に着くまでじっとしていました。

いよいよ島に到着。
錨が降ろされロープで船が止められます。橋が渡され、さあ、いよいよカタリナ島へ足を踏み入れます。底抜けに青い空と青い海!! 船を降りながら覗くと、海の色は透き通って魚たちがいっぱいです。私たちの写真を撮るつもりで先に船を降りた主人の方は、「わぁ~魚!魚!」と夢中で魚の写真を撮り続けている始末。私たちの写真の方はどうなってんの??

カタリナ島は、LA南西35キロ地点に浮ぶ小島で、長さが35キロ、幅が13キロと、日本の淡路島よりも少し小さいくらいでしょうか。元々ネイティブアメリカンが暮らしていた所で、1854年にポルトガル人の探検家に発見され、その後は、カルフォルニアの歴史同様、スペイン植民地からメキシコ植民地の時代をたどり、現在にいたっています。
リゾート開発された歴史は古く、1890年代に遡り、その後1920年以降、チューイングガムで財を成したシカゴの富豪William Wrigley Jr. が彼の財産をつぎ込んで本格的なリゾート開発を行い、現在のカナリナ島を基礎を作ったそうです。島にはリグレー氏ゆかりの記念館もあります。シカゴでは、リグリーの存在は大きく、全米一美しい野球場として名高いWrigley Field もシカゴカブスのオーナーであった彼の名前を冠したものですが、ここカタリナ島がリグリー氏ゆかりの場所だったとは、世の中の出来事はなにかと繋がっているのですね。シカゴには3年ほど暮らしていたこともあり、なんだかカタリナ島に親近感が沸いてきます。ちなみに、シカゴカブスは当時毎年カタリナ島で春のトレーニングを行っていたそうです。
現在のカタリナ島、住人は4000人足らず、その大方が、今回船で到着したAvalon という港町に住んでおり、島の施設もここに集っています。他には北にTwo Harborsという港町があり、ここも風光明媚な場所として知られています。1900年初頭、無声映画時代の巨匠グリフィス監督がカタリナの風景を気に入り、映画を撮影したのをきっかけに次々とここで映画のロケが行われるようになり、その後1920年、30年代のハリウッド映画の黄金時代には、カタリナ島はロケ地のメッカだったそうです。比較的最近の映画では、「ロズマリーの赤ちゃん」や、「ジョーズ」といった映画がここで撮影されています。
二つの港町を除くとほとんどが、開発の規制を受けた保護区域となっています。車の持ち込みも規制されている為、観光用のツアーバス以外ガソリン車は見当たらず、住民は移動にゴルフカートを使っているそうです。

さてそんな島に着いた私たち。なんらあてなし3人組は、顔を見合わせて「なにする~?」 
せっかく島まで来たんだから「風まかせでのんびりいこう」と。(暗黙の了解)。
とりあえず観光案内所でパンフレットをもらい目を通して、島の概要を頭に入れることに。
ここでのアクティビィティーは、マリンスポーツに釣、もしくは、ツアーバスで回る観光のどれかということのようで、観光は、車が使えないのでツアーも陸、海両方用意されています。ここには、アメリカのシンボルでもある、バッファローやイーグルといった動物も観られるということで、島の風景と合わせて見て回る陸のツアーも人気のようですが、今回は、海を楽しもうと、イエローサブマリンの水中翼船でのお魚ツアーに参加することにしました。出発までの待ち時間、町を散策、船着場から歩いて直ぐのところに町があり、そこにお店やレストランなどが集っているので便利です。

お魚観察ツアーは、「THE SEA VIEW」 という船の底からのぞいて見るものと、「THE NAUTILUS」 という水中翼船のものと2種類があります。水中翼船は初めてで今回こちらに決めました。水中翼船といってもセミ サブマリンで、船室部分だけ海中に沈み丸い窓から魚を観察するようになっています。                      




ガイドつきの45分間の海中の旅、透明度の高い海で保護区域内の海の魚の群れや海藻の群生もたっぷり見ることができます。スポットごとに餌を撒いたり、緑の光を発光したりして魚を呼び寄せるると、魚たちがいっせいに船にぶつかるように集まってきます。大きな魚に混じって鰯のような小魚の群れが印象的です。特に目を引くのが体長30センチほどのGaribaldi という鮮やかなオレンジ色の魚。モントレイ沖から南カリフォルニアの大西洋で見られるこの魚はカリフォルニア州の魚に指定されていて、捕獲すると高額な罰金が科せられるいう話でした。
丸い窓から顔をこすりつけるようにずっと魚を追いかけていると、自分も魚になったような気分で、海の中を泳いでみたくなりました。
あっという間の45分間。魚との一体感はなかなかのもので、3人ともまるで5歳児くらいに戻ったような気分、母とのジェネレーションギャップも何処へ?といった感じです。


沖に上がって、お腹も減ったところで、目指すは海辺のシーフードレストラン「アームストロングス」。
ツアーの前、町を散策中に目をつけて置いた場所です。ランチを取る客もひと段落したところとみえ、海の眺めが最高のデッキのテーブルに座ることができました。ここは、魚市場も営む老舗のレストランらしく、どれもシンプルなアメリカの魚料理ですが、魚が新鮮でおいしかったです。この後の予定もなく、海の風景を楽しみながら、ゆっくり食事を楽しみました。
桟橋からずっと入江沿いに町の目抜き通りがあり、先には、円形の巨大な建物が見えます。カタリナのランドマークともいえる「カジノ」と呼ばれる建物で、最初耳にしたときは、なんでこんな都会の喧騒を離れた島にカジノがあるの?と思ってしまったのですが、ここのは、ラスベガスのカジノとは異なったものでした。casino はイタリア語で、「social gathering place 」、「人の集まる所」というのが本来の意味だそうです。カタリナのカジノは、1929年にリグリーの監修のもと建てられた世界一大きな円形のダンスホールと劇場を併せ持つ建物だとわかりました。ギャンブルとは全く無縁のソーシャルな場所で、当時アルコールもご法度だったとのことです。


アールデコの装飾が美しい建物で、建物内もツアー見学ができるようですが、あいにくこの日はお休みでした。劇場は今も映画館として使われているそうです。建物の一部が、カタリナ島の歴史を紹介したミュージアムやギャラリーとなっています。
カジノの周りは公園になっていて、直ぐ先にはビーチが広がっています。円形の建物を一周するように回ると裏は、ダイブポイントになっていて、ウエットスーツに身を包んだダイバーでにぎわっていました。

入江の先にはカタリナのランドマーク「CASINO」が。
             海は透き通ってとてもきれいです。

島のどこからも見える青い海と空は、そこにいるだけで心と体を元気にしてくれるように思います。


カタリナでは、陶器やタイルがさかんに創られた時代があり、今では、高値のコレクターアイテムとなっているらしいですが、町の古い建物や噴水、また歩道の壁などの装飾にタイルが使われ目を楽しませてくれました。、町並みも地中海風で、ほんのり異国情緒を感じさせてくれます。そんな町並みをそぞろ歩きながら帰りの船を待ち、6時の便でロングビーチへ。

のんびりとした島時間を楽しんで帰って来ました。

  町の中にはタイルや壁画がそここに見られます



この日は一日中快晴で、ロングビーチからの帰途、車窓からきれいな夕日が見えました。
母の方は明日いよいよ帰国、LAの最後の夕空はきれいな茜色に染まりました。


五月に入り、カタリナアイランドは今、島の名物「飛魚の飛翔」が見られるシーズンを迎えています。

0 件のコメント: