2009年5月5日火曜日

アジアンタウンにそびえ立つ仏教寺院、Hsi Lai Temple

メキシコに発生した季節外れのインフルエンザにいまや世界中は大騒ぎ、ニュースでも毎日その話題でもちきりです。LAでは、四月になっても異例の寒さでずっと曇りがちの日が続きと、なんだか変な具合?と首を傾げていた最中のふって湧いた出来事にやっぱり! いやな予感が的中したかのような気分です。
しかし、五月に入り、お天気もまた上向いてきました。とにもかくにもこれ以上、ウイルスが蔓延しない事を祈るばかりです。

まさに五月晴れとなった先週末の日曜日、LA郊外にあるSan Gabriel valley に沿って広がる町のひとつHacienda Height まで出かけて行きました。今では New China Townと呼ばれる Montrey Park や San Gabrielといった町と並んでこの辺り一帯は、巨大な Asian Town として広がり、その大きさは目を見張るばかりです。今回訪ねたのは、台湾の高雄に総本山があるという台湾最大の仏教宗派、仏光山西来寺のアメリカ西海岸の分院 Hsi Lai Temple、その規模の大きさはまた圧巻でした。本場中国の建築様式で作られたという寺院は本格的で、寺院に到着するや、まるで中国にやってきたかのような印象。実際、西半球にある数ある分院のなかではここが最大級ということでした。

今回このお寺を訪ねたのは、なんと伊豆の下田の珈琲館、邪宗門で聞いた一枚のCDがきっかけ。この春日本へ帰省したおり、母と伊豆にでかけ下田まで足をのばしました。そこで立ち寄った下田の町ににひっそりとたたずむ小さなナマコ壁の邪宗門。ここを訪ねるのは今回で2回目で、懐かしい思いでドアを開けて中に入ると、中はまるで異空間。椅子に座って薄暗い店内から色ガラス超しに見る外の風景が妙に明るく感じられ、店の中では時間が逆方向に流れていくかのような何とも不思議な感覚に包まれます。一見時代に取り残されたかのような風情ある下田の町に残るお気に入りの場所です。   下田のなまこ壁の珈琲館「邪宗門」

そしてそこで耳にした一枚のCDの音楽、ちょっと沖縄風で、何度も同じフレーズが繰り返されていくリズムが心地よく、耳を傾けるうちにその不思議な言語のの響きが気になり始めました。しばらくしてこの歌は何語なのかお店の人に訊ねてみたところ、般若心経に曲をつけて歌っているとのことでした。般若心経!??とびっくり、私の暗誦している般若心経とはまったく違う音の世界なのです。CDのジャケットを見せてもらうと、梵音修行版とあり、サンスクリット語で歌われているのだとわかりました。なんども繰り返される意味不明の音が心地よかったのは、言葉にパワーを秘めるといわれるサンスクリット語のせいだったのでしょうか。それを歌詞にして実に軽やかに曲に仕上っています。サンスクリット語の般若心経と聞くとますます欲しくなってしまいましたが、このCD、マスターが台湾の仏光山にあるお寺に行った時にみつけられたそうで、そこでしか手に入らないとのことでした。
台湾の仏光山にあるお寺??

さ〜て、ここはLA、まさにアジアの宝庫です。本国にあってLAにないものはないだろうとの目論みが的中しました!

Hesiendaという町に大きな中国寺院があるという事は以前から耳にしていましたが、なんと、伊豆半島の下田からここに繋がってくるとは思いもよりませんでした。

Hsi Lai Templeは、漢字で書くと西来寺となり文字通り、”coming west" という意味だそうです。
15エーカーの敷地に遠目からも一目瞭然ドーンとそびえております。中国の明と清の時代の本格的な建物様式で、山門をくぐって駐車場をのぼっていくと、まずBodhisattvaa Hall があり、中に入って頭上を見上げると、こちらでHappy Buddha の愛称で親しまれている太鼓腹のMaitreya Bodhisattva を中央に5体の派手な仏像が並んでいます。日本のお寺のイメージからは想像できない明るさです。そこではお供えのお花が売られとり、まずここで信者はそれぞれお気に入りの仏像にお花を捧げてお祈りをするようです。建物を抜けると大きな中庭が広がり、そこを囲むようにいくつかの建物が配置されています。正面の高台にある巨大な建物が、本殿、その向こうには塔や座禅堂といった建物もあります。受付でCDを借りて音声案内によるセルフツアーも可能で、私たちも観光よろしく一巡り。中には、ミュージアムや図書館、地元のアメリカ人にも人気のビュッフェスタイルの精進料理を供するレストラン、ギフト、ブックショップなどもあり、ちょっとしたお寺のアミューズメントパークのようなのりです。この日は、ちょうど旧暦のお釈迦様の誕生日にあたり、中庭にはいろんなブースが用意され大勢の人でにぎわっていました。
本殿の奥の座禅堂まで高台をのぼっていくと、ちょうど一時間のメディテーションがスタートするところで、参加させてもらう事にしました。この日はいいお天気で、明るい日射しと、鳥のさえずりが気持ちいい瞑想タイムとなり座禅のあとは気分爽快でした。

ところで台湾の高雄に総本山がある寺院の設立者は、台湾出身のHsing Yun、もともと書籍の出版に携わってきたそうで、人間仏教(ジンカン仏教 人の世に根付いた仏教との意味)を提唱し、1967年に高雄に仏光山西来寺を開き、仏教の教えを世界に啓蒙しようと弟子達とともにここまで一代で築いてきたとのことです。星雲法師の名で本国台湾ではとても尊敬されている方だそうです。教育活動にも力を入れていて、ここカルフォルニアには大学まであり、仏教や世界の宗教を学ぶ学科のみならず、ビジネスの学部も用意されていました。
詳しい事は何も知らず、下田で聞いた一枚のCDを求めてやってきた、Hsi Lai Temple、ここ西海岸において台湾コミュニティーの文化と精神のセンターとして存在しているに止まらず、現在社会に活きた仏教として中国文化とともにアメリカに発信し多くの人々に親しまれている開かれた聖地でした。

最後はブックショップで、念願のCD「般若波羅蜜多心経 梵音修行版」を見つけることができました! 車の中でさっそくCDをセット、、、今度はLAから下田へとタイムトリップです。

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